地域における病診連携


山都町包括医療センターそよう病院 病院長 山下太郎 熊本県医師会報2023年2月号病院便りより
 平素より県医師会の先生方には大変お世話になっております。  山都町包括医療センターそよう病院は、昭和22年に馬見原病院として開設され、平成17年に蘇陽町、清和村、矢部町の合併で山都町立となり現在に至っています。名誉院長の水本誠一先生の後を引き継ぎ、令和2年4月より、私が第17代目の病院長を務めさせて頂いております。
 当院は、山都町唯一の公立病院として、また上益城郡唯一の救急告示病院として、さらに県指定僻地医療拠点病院として、地域中核病院としての医療サービス提供を目指しております。また、学生や、研修医を受け入れ、地域医療の臨床実習にも尽力しております。
 私が赴任しました時期は、コロナ禍が生じた時期と重なり、病院運営とCovid-19に同時に取り組む必要があり大変苦労致しましたが、これが可能だった要因は、上益城郡及び山都町医会の先生方との医療連携であったと考えております。
 毎月の上益城郡医師会の理事会や、山都町医会議では、診療、運営に関する貴重な情報提供を頂きました。特に山都町ではワクチン集団接種のため、毎月のように会議が開催されましたが、三密を避けるために急速に普及したリモート会議により、県内第3位の面積を有する当町において、参加の負担が著しく軽減されました。また、会議後に自由討論の時間を十分持てたことや、さらに、ワクチン接種会場で対面により意見交換を何度も出来たことが、連携を深める機会となりました。
 Covid-19病床確保に関してですが、当初当院では、地域唯一の救急病院としての機能維持を優先するため、患者入院を受けておりませんでした。しかし、上益城郡に病床がなく、上益城保健所からの要請もあり、令和3年3月より患者入院受け入れを開始致しました。その際の病床確保のための患者転院など、地域の病院には多大なご理解とご協力を頂いたことに感謝致しております。
 また、特に令和4年8-9月の第7波の際には、一部の病院へ発熱外来受診が集中し、患者様にご不自由をおかけしたことを機に、地域の病院に発熱外来へのさらなるご協力を依頼させて頂きました。その際に、職員や患者様への感染拡大の危険性も危惧される中、十分な感染対策など追加しながら、町医会の先生方には、快く分担をお受け頂きました。町医会の作成した第8波対策を、広報誌で各家庭へ配布することで、住民の皆様の過剰な不安の軽減と、町医会への信頼のさらなる向上に繋がったとも考えております。おかげさまで12-1月の第8波では、発熱外来において、第7波のような逼迫した状況は回避できましたが、これも医療連携の賜物と感謝致しております。
 上益城郡、山都町の先生方との連携は、コロナ禍という共通の課題への対策の過程で、さらに深まったと感じております。今後も、様々な課題が生じてくる可能性がありますが、連携して取り組むことで必ず対応できるものと確信しております。先生方には今後もご支援、ご指導のほど何卒宜しくお願い申し上げます。

最終更新日 20230227